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黒い雨

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井伏鱒二 「黒い雨」 新潮社 新潮文庫(2003/9/9)

『…原爆の広島―罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、一被爆者と“黒い雨”にうたれただけで原爆症に蝕まれていく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。…』
姪の縁談にあたって、
戦時中の日記をまとめるという形での回顧録と、
現在を往復しながら綴られるフィクション。


アメリカでは、いまだに
「ヒロシマとナガサキの犠牲は必要なものだった」
という認識がまかり通っているらしい。
エノラゲイがアメリカで完全復元されたというニュースもあったけれど、
その実現に向けて力を尽くした人たちはきっと事実を知らない。
もしくは、知っていても無視しているのかもしれない。
自分たちの責任を問われることが怖いのだ。
もしくは逃れたいだけなのかもしれない。
しかし、日本人がそれを訴えても、なかなか届かないのかもしれない。
ある種の嫌悪感を引き出すだけで。
きっと日本人が中国や韓国など東アジアの人に抱く感情に似ていると思う。


受け入れるにはあまりに酷い現状だけれど、
忘れてはいけない事実があります。
それをいやというほど認識させてくれます。
また、軍が全てを統制するイメージは、
某国をありありと思い出させます。
何十年か前の日本と同じような国が、
まだこの世界に存在するとは…。
いろいろなことを考えさせられる作品です。

いつか、8月に読んでください。

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