アンダーグラウンド
村上 春樹 「アンダーグラウンド」 講談社(2003/8/24)
地下鉄サリン事件の被害者62人へのインタビューを綴ったノンフィクションもの。
事件当日の様子が生々しく描かれている。
■当事者たちは、今までに経験が無いために、
自分がいかに大変な事件に巻き込まれているかを
なかなか認識できない
■被害者は、具合が悪くなっても、とにかく会社に行こうとする
■事件現場でも、その一角以外ではごく普通の時間が流れている
事件の大きさと事件直後の周囲の関心の薄さの対比、
絶対に“ありえない”事件
といったような奇妙さがとても印象に残りました。
マスコミの非常識な対応や、事件の都合のいい解釈、
公的機関の緊急時対応の遅さ、
日本社会全体の制度の不備…。
日本が今歪んでいるということを、
否応無く見せられてしまいます。
読むことでとても暗い気分にさせられるのは確かですが、
こういう本こそ読まなければ。
寝る前には読まないほうがいいかもしれませんが。
事件を風化させないために必要な一冊。